記憶のゴジラ

生まれて初めて映画館で映画を見た記憶が僕にはうっすらとあって、その映画はゴジラだった。
おそらく1歳半くらいのことだと思う。
クライマックスを迎えて火山に落ちていくゴジラに対して
「バイバーイ」と映画館中に響き渡る大きな声で叫んだ記憶が、ぼんやりとある。
 
 
そして、その時に感じた気恥ずかしさと微笑ましさの思い出を、母親はいつも優しい目で、
僕が大人になるまでの間に何度も話してくれた。
 
 
 
旅をして、生まれて初めてこの目で見た動物がいくつもいた。
ヤク、アルパカ、バッファロー、ゾウガメ、ヌー。
 
 
ガラパゴス諸島では、生まれて初めて見るゾウガメの大きさに驚いたが、
それ以上に、体調1メートルを超す野生のゾウガメが山の中で暮らしているということにも驚いた。
人里離れた山を歩いていると、突然大きな甲羅が姿をあらわしたり、
「フーフー」という吐息が聞こえてきたりする。
あんなに大きなカメが山の中で暮らしているという事実は僕にとって衝撃的だった。
 
 
アシカやペリカンが市場でまるで客のような顔で闊歩している姿にも驚いた。
そこでは人間と動物のある種の約束が成立していて、
アシカもペリカンも手を伸ばせばいつでも魚を食べられる位置にいながら、
それらを無理矢理奪い取ろうとはせず、ある者はじっと待ち、ある者は上手におねだりし、
目的の食料にありついていた。
 
その両者の関係性が、なんだかとても微笑ましかった。
 
 
初めて見た動物、初めて見た景色、初めてみた映画。
大きな驚きと、優しい光景。
 
 
 
今度実家に帰ったときに、母さんにあの映画館での話をもう一度話してもらおう。

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