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旅する本1984








大学生の頃から本を読むことが好きになり、
次第に生活において本はなくてはならないものになっていった。


それは、旅中においても然り。




彼女のバックパックと合わせて、いつも本が3冊程は入っている。



それは他の旅行者も同様で、
もちろん全員ではないけれど、本を持っている旅行者は少なくない。



そして自然と旅行者同士で読み終わった本の交換をする流れになり、
僕たちはまた新しい本を手に入れ、新しい文字を読み、新しい知識を得る。



世界各地でそのサイクルは繰り返される。



つまりは、僕たちと同じように、本も旅をしているわけである。






今から7ヶ月前の2010年10月、ヨルダンのアンマンで
これが3度目の再会となるモミ君と、1冊の本を交換した。



僕たちは何の本を渡したのか今となっては覚えていないけれど、
モミからもらった本はジョージ・オーウェルの1984年だった。


本の文字には時折、線が引いてあって、
「モミ、本を読みながら線を引いたのかなー」なんてことをぼんやりと考えていた。

まあ、モミも誰かと本を交換しているんだろうからモミが線を引いたわけではないかもしれないけど。





そして月日が流れて、ケニアだったかモロッコだったか、
これも定かではないけれど、僕たちはジョージオーウェルの1984年を手放し、新しい本を手に入れた。



それくらい日常的に、ぼんやりと、当たり前のように本を交換した。







話は現在に戻って2011年5月。場所はガラパゴス諸島。

ガラパゴスを一緒に旅したシンジ君は、数冊の本を持っていた。




そして、その中に1984年があった。


僕のほうは「あ〜、1984年があるなー」なんてことを考えながらぼんやりと見ていたのだが、
彼女は「あれ?」と言って、慌しくシンジ君に「1984年がある」と話しかけていた。


なにかを感じていたのかもしれない。




「私たち、モミ君と1984年を交換したんだよね」




ちなみにシンジ君はトルコでモミと会っていて、数日前にモミの話をしたばかりだった。




「あ、そうなんだー。ちなみにその本にはかなり線が引いてあるよ」



え?線?



耳を疑った。
ジョージ・オーウェルの1984年にたくさんの線が引いてある。


そんな偶然がそうそうあるはずがない。




これは7ヶ月前に、僕たちが手にしていた本だ!
そう確信した。




シンジ君は別の旅人からこの本を譲り受けていて、現在所持しているらしい。




僕たちは誰に、どこで渡したのかもはっきりとは覚えていないけれど、
この本はモミから僕たちへ、そして他の誰かへと渡って、現在シンジ君の手の中にある。





7ヶ月間、いや、もっと長い間、
誰かのバックパックの中で、あのクソ暑い中東や、アフリカの大地や、大西洋を渡って、南米にやって来て、
そしてガラパゴス諸島まで旅してきたのだ!

もちろん、これからも1984年の旅は続くのだろう。







これってスゴイなーと思う。


しかも、それを皆が知っている人同士で確認し合っているからまたすごい。




僕は嬉しくなって、さっそくモミにメールを送った。



(ひろし)


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